Recommended top 10: Norichika Oba [日本語]

Introduction

We’re back for another Recommended top 10. This time we asked Norichika Oba, the director of Cyclops (2018), to give 10 Japanese movies he recommends. So without further ado, let’s dive into his carefully chosen personal selection.

[For now, this article is only in Japanese. The translation will be released at a later time.] Foreword/序文 (By Norichika Oba)

40552719_1828950513841247_4010838940033482752_n以下、大庭の個人的な日本映画のベスト10を挙げます。年代順です。10人の最も好きな作家の映画から、最も好きな1本をそれぞれ選びました。ベスト10の理由について、1と2に関しては混ざり合っており、また、それ故にオススメしたいと考えていますので、それぞれの映画について短くコメントさせていただきます。

Recommended top 10/おすすめトップ10 

○ A Wife Confesses 妻は告白する(1961)by Yasuzo Masumura [増村保造]

wifeconfesses1.jpg増村作品は、そのフレームのインパクト、語りの比類無きスピード感においてどの作品にも魅了されますが、その中でもこの1本を特に推します。警察暑にやってきたびしょ濡れの若尾文子を捉えたショット。映画が人の記憶に焼き付く素晴らしい瞬間です。

○ Cruel Story of the Shogunate’s Downfall 幕末残酷物語(1964)by Tai Kato [加藤泰]

piotrqjq1itx.jpg戦後20年ほどを経て撮られたこの映画は、戦争を経験した日本の昭和時代における、生と死の相克を捉えたドキュメンタリーと言うことも出来ると思います。死の恐怖に曝されながら、生に向けて絶望的に突き進む男たち。それを熱く冷酷に見詰める加藤泰の視線が凄まじいです。

○ Age of Assassins 殺人狂時代 (1967) by Kihachi Okamoto [岡本喜八]

pqhqcwvziqxp.jpg岡本喜八もまた、日本の昭和時代のアナーキーさを別の側面から捉えようとした作家だと思います。殺しを巡る間の抜けた喜劇が、その行き着く先にゾッとするような狂気を孕む瞬間。今、我々に求められるのは、彼のスタイルを模倣することではなく、この「狂気」を正しくまとう事ではないでしょうか。

○ Zigeunerweisenツィゴイネルワイゼン 」(1980)by Seijun Suzuki [鈴木清順]

zigeunerweisen.jpg鈴木清順の映画には、いつも「切なさ」が流れているように感じます。そして、僕はその「切なさ」がとても好きです。手の届きそうな所にある愛しい何かに、しかし決して手が届かないと分かった時に感じるような切なさです。この映画は、そういった切なさの断片を集めて綴られた美しい映画です。

○ Sonatineソナチネ (1993)by Takeshi Kitano [北野武]

sonatine_trailer-1140x653北野武の映画のベスト1に挙げられる事も多い作品ですが、僕にとってのベスト1も同じです。映画というものが、スクリーンと観客の間、ショットとショットの間、光と闇の間に存在するということを、この映画は教えてくれました。

 

キュア(1997)by Kiyoshi Kurosawa [黒沢清]

cure1今まで僕が観た映画の中で、最も刺激を受けた映画だと言えます。初めてこの映画を観た後、「道を歩いていたら急に誰かに襲われて殺されるのではないか」と唐突に恐怖を感じ、パニックに陥りそうになった事を思い出します。映画が現実の風景に浸食し、全く別のものに書き換えてしまうこと。映画が持つ恐ろしさとして、それ以上のものがあるでしょうか。

○ Wait and Seeあ、春(1998)by Shinji Somai [相米慎二]

vlcsnap-2015-12-31-14h26m53s237シネフィルの方々は、相米慎二の映画では、その前期の作品を好む傾向が強い気がしますが、僕の最も好きな作品はこれです。前期の荒々しいパワーと引き替えに得られた優しさ、大らかさ、諦念や希望が入り交じった、とても豊かな映画だと思います。俳優の「演技すること」についても考えさせられる作品です。

○ Eurekaユリイカ(2000)by Shinji Aoyama [青山真治]

eureka2映画は大きければ大きいほど良いと思います。この作品は、大きさそのものを描いた映画だと思います。その大きさの中で我々は人を愛し、憎み、赦し、赦される。大きさの中で閃く生の瞬間たち。この映画が持つ、「絶対に見捨てない」という強い決意と、それを可能にする力強い優しさを、自分も身につけたいと思います。

○ Blood and Bones血と骨」(2004) by Yoichi Sai [崔 洋一]

blood_and_bones_533_300_70描きたいと思ったものは、何が何でも容赦なく撮るのだという、ヴェルナー・ヘルツォークを想起させるような暴力的なまでのエネルギーに満ちています。そのエネルギーにあぶり出された映像のテンションは異様に高く、また同時に、奇妙な優しさも感じます。俳優としての北野武の素晴らしさが、最も発揮されている映画としても興味深いです。

○ Still Walking歩いても歩いても」(2008) by Horikazu Kore-eda [是枝裕和]

aruitemoシナリオに基づくフィクションとしての映画、と同時に、撮影現場で起きたことを記録するドキュメントとしての映画。是枝監督の映画は、映画のその両義性が極めて高いレヴェルで融合した映画で、その素晴らしさを最も堪能出来るのがこの映画だと思います。彼が描いてきた「家族」のモデルが伺えると思います。

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